に思い出されるのは、美人ニーナ嬢の怪行動だ。ニーナ嬢にぶつかったのは、石炭庫へ下る途中の通路であった。
BB火薬とニーナ嬢!
BB火薬というものは、昨年始めてメキシコのある化学研究所でつくられた、おそるべき強力なる爆薬であった。そのつくり方はもちろん、こういう火薬があるということまで極秘になっていたはずのものだった。それが、どうしたわけか、ある一部へ秘密が洩《も》れ、別なところで、製造が始められたと、帆村は聞いていた。その問題のBB火薬が、雷洋丸の上で発見されたのである。
帆村の眼底には、消せども消せども、なぜかBB火薬と並んでニーナ嬢の顔が浮かび上がってくるのであった。
虚報《きょほう》
「船長。今も申しましたとおり、防空無電局では、あの時刻に、そんな怪飛行機追跡中だなんて警報を出したおぼえはないといっているのです。嘘《うそ》ではなさそうです。するといよいよこれは、どうも、ただごとではありませんよ」
と、一等運転士がいった。船長室で、二人は向きあって額をあつめて、協議中であった。
船長は、海図《かいず》から頭をあげ、
「まったくおかしなこともあるものだな。あの警報
前へ
次へ
全217ページ中40ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング