団長さんが埋《うず》まっていたのよ。火夫《かふ》が、石炭をとりに来て、石炭の山にのぼると、真暗な奥から、うめきごえがきこえたんですって、びっくりして、仲間をよびあつめ、もう一度いって、奥をしらべてみると、誰だかわからない人間が、石炭の間から顔を出して歌をうたっていたんですって」
「歌をうたっていた?」
「そうなのよ、へんでしょう。顔がすっかり焼けただれているのに、歌をうたっているのよ。診察に行かれた先生もおどろいていらしたわ。普通の人間なら、もう死んでいるところですって」
「ひどいことをやったものですね。一体、誰が、そんなことをやったのでしょうね」
「さあ、あたし、そんなことは知らないわ。誰かにうらまれたのじゃないかしら、曲馬団の団長なんて、団員を、とてもいじめるのでしょう。ライオンや虎を打つ鞭《むち》でもってぴゅうぴゅうとたたくのでしょう」
「さあ、どうですかなあ」
 帆村探偵は、松ヶ谷団長が、見かけによらない人情にあつい人であることを知っていた。だから、団長は団員からうらまれるようなことは、なかったであろうと思った。問題は、BB火薬にあるのではなかろうか。それから、もう一つ、彼の心
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