そのガラスでつくった試験管の中へ、BB火薬らしいもので黒くなった花片を、しきりにむしりとって、つめこんだ。
それから、薬品のならんだ棚から、ある薬品の入った壜《びん》をとると、栓《せん》をぬいて、無色の液体をすこしばかり試験管につぎこんだ。
(こうしておけば、大丈夫、保つだろう――)
彼は、試験管にコルクの栓をした。それから、器用な手つきで、封蝋《ふうろう》を火のうえで軟かくすると、コルクの栓のうえを封じた。それで作業は終ったのであった。
それがすむと、こんどは肘かけ椅子のところへもどり、右足の繃帯を、くるくるとときはじめた。
足をはさんでいる板切が、むきだしにあらわれた。
(ここへ入れておけば、安心だ)
彼は、試験管を、板切の間にさしこんだ。それからふたたび繃帯を、元のように、ぐるぐると巻きつけたのであった。
それが終ると、彼はほっとしたような顔つきになって、肘かけ椅子に、ぐったりともたれて、大きな息をついた。
とたんに、廊下にあわただしい足音がしたと思ったら、医務室の扉があいて、看護婦がもどってきた。
あぶないところであった。
看護婦が、もうすこし早く、この部屋へ
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