顔をあげると、
「おお、これはたしかに、今大問題になっているBB火薬だ! これはたいへんだぞ」と、思わず、口走《くちばし》った。
いよいよ怪しき曾呂利青年だ。
今や、曾呂利青年の正体は、読者の前に、明らかにされなければならない。曾呂利本馬とは、真赤ないつわり、彼こそは、理学士の肩書のある青年探偵、帆村荘六その人だったのである。
おお、あの有名な名探偵、帆村荘六。
彼はなぜか一芸人として、このミマツ曲馬団に加わっていたが、雷洋丸上にしきりに起る怪事件にだまって見ていられず、ひそかに探偵の歩をすすめていたのだった。
そういうことが分かれば、曾呂利本馬として、これまでにたびたびおかしな振舞《ふるまい》があったが、それは探偵のための行動であったのだ。
BB火薬《かやく》
曾呂利本馬は、もう解消して、名探偵帆村荘六は、顕微鏡からはなれた。
彼は、きりりとした顔で、またしばらく、あたりの様子をうかがっていたが、まだ誰も、この医務室に近づく者がないことをたしかめると、後へふりむいて、卓子《テーブル》のうえから、一本の試験管をとった。
なにをするのであろうか?
帆村探偵は、
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