もむだだ。ころされたって、いわないといったらいわないのだ」
と、さけびました。
そのこえをきくと、高一は、はっとおもいました。そのこえにききおぼえがあったのです。
「あっ、お父さまだっ」
高一のお父さまは、ご用のため、とおくへお出かけになったはずなのに、なぜこんなほら穴のなかに、しばられているのでしょうか。高一もびっくりしましたがマルもおどろいてわんわんとほえました。さあたいへんです。
「だれだっ」
あやしい男たちは、いっせいにたって、高一のかくれていた方へむかってきました。高一はあぶなくなりました。マルは一生けんめいで、ほえています。
いまはこれまでとおもい、高一はそのすきに紙きれに、はしりがきをすると、腰にさげていた伝書鳩のあしにつけ、ぱっとはなしました。鳩は、くらやみのほら穴をぬけておもてへとびます。だが、つづいてとび出したのは、おそろしい電気鳩!
つがいの鳩
ほら穴の中の、おそろしいかくとうをあとにして、高一の手紙をもった伝書鳩第一号は、さっとおもてへとびだしました。
くわっくわっと鉄のくちばしをならしながら、そのあとをおいかけるのは、おそろしい電気
前へ
次へ
全54ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング