電気鳩
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)鳩《はと》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|粁《キロ》
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   あやしい鳩《はと》


 高一《こういち》とミドリのきょうだいは、伝書鳩をかっていました。
 もともとこれは、お父さまがかっていらっしゃる鳩なのですが、お父さまがある大切なご用で、とおいところへお出かけになってからは、二人のきょうだいが世話をしているのです。
 鳩はみんなで十羽いました。半分は金あみをはり、半分は板をうちつけて作ってある鳩舎《きゅうしゃ》のなかに、かってあるのです。鳩舎は、お家のうらの丘のうえにおいてありました。鳩は、とてもよくきょうだいになついていました。
 そのなごやかな鳩のむれが、どうしたことか、ちかごろなんとなくおちつかないようすです。きょうだいが気をつけていますと、たしかにへんです。ふだんならば、鳩たちは一日中鳩舎のまわりに、なかよく、くうくうとないているのですが、それがときどき、にわかに羽ばたきもあらあらしく、いっせいに空にまいあがってさわぎます。はては、お家の屋根につばさをおさめて、
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