おちつかないようすで、あっちへいったりこっちへきたり、きょろきょろと、下をうかがっているのです。鳩たちはどうしておちつかなくなったのでしょう。
その日もゆうがたのことでしたが、鳩たちは空にいりみだれて大さわぎをはじめました。高一とミドリは、いそいで鳩舎にかけつけました。すると、鳩舎の上には一羽の鳩がのこっていました。
「オヤ、へんな鳩がいるぞ」
「うちの鳩じゃないわ。どこのでしょう」
それは、みなれない鳩でした。
ふつうの伝書鳩なら、ぜんしんは石板色で、首のところに金みどりのぶちがあるのですが、いま鳩舎の上にのこっている鳩は、からだの色が、紺青《こんじょう》で、そしてつばさのさきには、ふとい金のすじが二本とおっていて、よくみればみるほど、かわった鳩でした。その上その鳩は、まるでつくりもののあしでもつけているように、みょうに両足をひきずって歩くくせがありました。
「もっとよく見てやろう」
と、高一は鳩舎の方にちかづきました。
そして青い鳩に、ぐっと手をのばしたところ、思いがけなくもゆびさきが、電気にふれたときのようにぴりぴりとしびれました。
「あっ――」
と、高一はおどろいて
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