問いあわせました。
すると、すぐ艦隊の司令官からへんじがあって、スパイ国のせいばつよりも、「地底戦車」を発明した、きょうだいの父親が、いまわる者どもにひどい目にあっているから、二人をつれてすぐこっちへかえってくるようにと命令が出ました。
高一とミドリは、しんぱいでもあり、またおおよろこびです。これから海軍の軍人さんたちと、父親をたすけにゆくことになったのですから。駆逐艦は北の方にむきなおると全速力をだしました。
荒海の波をけたてて、ずいぶん、ながい間走りつづけて、駆逐艦はついに港につきました。
高一とミドリとは、艦長におわかれをいって、大石大尉という士官につれられて上陸しました。
上陸してみると、これは日本ではなく、朝鮮半島でありました。朝鮮半島もずっと北の方で、満州国にちかいところの、さびしい港町でありました。
「大石大尉、私たちのお父さんはどこにいるのですか」
と、高一がたずねると、大尉は顔をくもらせて、
「それがねえ、たいへんなところなのだよ」
「たいへんなところというと――」
父親がたいへんなところにいるときいて、高一とミドリはまっさおになりました。
大石大尉は
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