く、ここまでにげのびた、いさましいきょうだいですのに。
 高一少年は、いまは、おどろいたり、かなしんだりしていられません。なんとか妹のいのちをたすけることを考えだしたいとあせっています。どうすればいいのでしょう。
「ああ、そうだ。いいことがある」
「いいことって、どんなこと」
「電気鳩をつかってみよう」
 高一少年は、すばやくきかいのかばんをかたにかけると、その目《め》もり盤《ばん》を、うごかしてみました。すると、電気鳩がつつみのなかから出てきました。
「うむ、電気鳩がうごきだした。もう電気鳩は、こっちの味方だぞ」
 電気鳩は、かばんのなかにある電気のしかけでうごくことがわかりました。外国には、こうしたきかいで、人間がひとりものっていない飛行機をとばす発明があります。それも電気の力でうごかすのです。それとおなじしかけです。
 目もり盤のまわしかたで、電気鳩はどっちへでもとびます。それがわかったので、高一は電気鳩を敵の飛行機へむけてとびかからせました。
 ぱたぱたと、つよい羽ばたきをして、電気鳩は、飛行機をおいかけました。
「電気鳩さん、しっかり」
 電気鳩は、すごいはやさでとんでいって
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