、二人の頭の上にあらわれて、あらあらしくさっとまいさがってきました。敵か味方かと思っているうちに、飛行機は、まっしぐらにばくだんをはなちました。ああ敵です。
「兄ちゃん、ばくだんよ。ああ、あぶない」
ミドリは、顔をまっさおにしてさけびました。高一少年は、ボートにばくだんがあたってはなるものかと、オール(かい)を力いっぱいこいで、のがれようとつとめました。
ど、どかあん。ぐわうん、わわわん。
二人のきょうだいの目の前に、とつぜんものすごい水けむりがたちました。ばくだんがはれつしたのです。いいあんばいにあたりませんでした。そのかわり、ものすごい波がおこって二人のボートはひっくりかえりそうになりました。空では、敵の飛行機が、またばくげきのかまえをしました。
「あっ兄ちゃん、またばくだんをおとすわよ」
高一はくやしさにはがみをしました。飛行機は、たしかに、スパイ団の味方なのです。
この飛行機こそ、きょうだいがにげだしたあとで、それときづいたスパイ団が、無線電信でよびよせたものでした。きょうだいのいのちは、風のふくまえにたてた、ろうそくの火のようにあぶない!
さあ、どうなるか。せっか
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