のまま、おとなしく島ながしになっているでしょうか。
くらい海を、高一とミドリのボートは長いあいだただよっていました。
やがて夜があけました。たすけの船はと思ってあたりをたえずさがしたのですが、いじわるく、船のかたちも、煙のかげも見あたりません。どうなることかと思っているうちに、その日のおひるすぎになって、二人はどうじに、ぶうんという音を耳にしました。
「あっ、飛行機だ」
晴れわたった空を、手をかざしてさがしてみますと、あっ見えました見えました、一だいの飛行機がたかいところをとんでいます。
「おお、こっちへくるらしい」
助けをよぼうか、どうしようか、と思っているうちに、飛行機は、ぐっと前の方をさげました。敵か味方か、どっちの飛行機でしょうか。
はたらく電気鳩
高一少年は、スパイ団にとりこにされた妹ミドリをすくいだして、無人島をあとに、ボートにのってにげてゆきます。ボートのなかには、高一がスパイ団からぶんどった電気鳩と、その鳩をうごかすきかいのはいったかばんとをつんでいます。これはたいへんなお手がらです。ボートをこいで、沖の方にでてゆくうち、一だいのあやしい飛行機が
前へ
次へ
全54ページ中41ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング