のまま、おとなしく島ながしになっているでしょうか。
 くらい海を、高一とミドリのボートは長いあいだただよっていました。
 やがて夜があけました。たすけの船はと思ってあたりをたえずさがしたのですが、いじわるく、船のかたちも、煙のかげも見あたりません。どうなることかと思っているうちに、その日のおひるすぎになって、二人はどうじに、ぶうんという音を耳にしました。
「あっ、飛行機だ」
 晴れわたった空を、手をかざしてさがしてみますと、あっ見えました見えました、一だいの飛行機がたかいところをとんでいます。
「おお、こっちへくるらしい」
 助けをよぼうか、どうしようか、と思っているうちに、飛行機は、ぐっと前の方をさげました。敵か味方か、どっちの飛行機でしょうか。


   はたらく電気鳩


 高一少年は、スパイ団にとりこにされた妹ミドリをすくいだして、無人島をあとに、ボートにのってにげてゆきます。ボートのなかには、高一がスパイ団からぶんどった電気鳩と、その鳩をうごかすきかいのはいったかばんとをつんでいます。これはたいへんなお手がらです。ボートをこいで、沖の方にでてゆくうち、一だいのあやしい飛行機が
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