どこなのでしょうか。
「ミドリちゃんは、どうしたんだろう。やはり、あのわる者につかまっているんだろう。かわいそうに」
高一はミドリのことをおもうと、どうしてこのままじっとしていられましょう。しかし、なわはかたくむすばれて、とけそうもありません。
くやしなみだをぽろぽろこぼしているところへ、そとに足音がきこえ、こっちへ近づいてきます。なに者がやってくるのでしょう。
すると、高いところにあいていた窓に、一つの顔があらわれました。それは少年の顔です。みたこともない顔ですが、大きな口をあいてよだれをながしていました。
ポンちゃんというその少年は、わる者の仲間ですから、とても、高一をたすけてくれません。
高一は、なにをおもいついたか、いつも腰にさげている鳩をよぶ笛を、ポンちゃんにあげるから、もっておゆきといいました。すると、ポンちゃんは大よろこびで、屋根のやぶれ目から、柱つたいにするするとおりてきて、高一の腰についている笛をとると、また、そとにでてゆきました。
ほう、ほう、ほう。
笛は、そとでさかんになっています。ポンちゃんがおもしろがってふいているのです。
すると、それから一時
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