っきりおしえて下さい。なに、青ではない緑だというのですか。なるほど、ミドリさん。ミドリさんとは、じつにかわいいお名前ですね」
「あたったわ」
なんというかしこい鳩なのでしょうと、ミドリは、かんしんしてしまいました。見物人は、また、手をたたいて鳩をほめました。
見物席では兄の高一だけが、おこったような顔をして、鳩つかいをにらみつけています。
「さあさあ、そこでついでにもうひとつ、この鳩をつかってすばらしい魔術をごらんに入れましょう」
といって印度人は、おくの方に合図をいたしました。するとおくから、こどものからだが入るくらいの大きさの、美しい箱をかついできました。その箱は二つでした。それをぶたいにならべました。さあ、これからどんなことがはじまるのでしょうか。
鳩つかいは、まず、ひとつの箱のなかに、金色のすじの入った鳩を、かごごと入れました。
それから、こんどはミドリの手をとって、
「さあお嬢さんは、こっちの箱へ入ってくださいね。なんのこわいことがありましょう」
ミドリが箱のなかに入ると、鳩つかいは急ににこにこして、
「まず、箱のふたをしめます」
と、両方の箱のふたをかたんとし
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