しりがきした紙きれがはずされました。
「これはたいへんだ」
 と、良太おじさんは、顔色をかえていいました。
「ミドリちゃんのお父さまが、あやしい一団につかまっているそうだ。さっそく憲兵隊へしらせなきゃいかん」
 憲兵軍曹である良太おじさんは、じつはミドリのお父さまが、ある大事なご用をひきうけて旅にでたのに、いつまでたってもかえってこないのをしんぱいして、ちょうどいま、たずねてきたところなのでした。さっそく、けがをした伝書鳩第一号のもちかえった紙きれをもって、憲兵隊へとどけでたのでまもなく一隊の洋服すがたの憲兵が、トラックにのってミドリの家にのりつけました。
 さあ、なにごとがはじまるのでしょうか。
 憲兵さんの話によると、なんでも、すごい電気鳩をつかう外国のスパイがいりこみ、なにか、しきりにわるいことをたくらんでいるとは、わかっていたが、そのスパイ団がどこにいるのかわからなくてこまっていたのです。ところがいま、高一少年のおかげで、ほら穴のひみつがしれたので、大よろこびです。
「さあ、電気鳩退治だ」
 と、憲兵さんは力をこめていいました。
「電気鳩さえ退治してしまえば、スパイ団も水をはな
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