の行方については兎《と》も角《かく》も、一方お千代の惨死体《ざんしたい》が、又もやカフェ・ネオンの三階に発見されて大騒ぎが始まった。またしても言うが、お千代の最後は惨鼻《さんび》の極《きょく》だった。彼女はどうしたものか、夜中に開かれた表向きの窓から、半身を逆《さかさ》に外へのり出し、丁度《ちょうど》窓と電気看板との間に挿《はさま》って死んでいた。だから暁《あ》け方《がた》になってようやく通行人が、電気看板の上端《じょうたん》からのぞいている蒼白《あおじろ》い脛《はぎ》や、女の着衣《ちゃくい》の一部や、看板の下から生首《なまくび》を転《ころが》しでもしたかのように、さかさまになってクワッと眼を開いている女の首と、その首の半分にふりみだれた黒髪とを発見して大騒動になった。お千代は晴着をつけたまま殺されていた。矢張《やは》り心臓には短刀がプスリと突きたてられ、警視庁で眼をつけていた万創膏《ばんそうこう》も肩のあたりに発見せられた。すべて同一手法の殺人である。そして電気殺人たることは判っているのにもかかわらず、それを瞞著《まんちゃく》しようとてか短刀を乳房の下に刺しとおしてあるではないか。係
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