外《ほか》に清子、かおるの二人の新顔《しんがお》が加わっていた。
二 被害者ふみ子の身体には暴行の跡が発見されなかった。
三 被害者ふみ子は、春江の場合の如く右手で右の乳房を握ってはいず、右手は正しく伸ばされていた。
四 被害者ふみ子の寝床は、春江の場合に於けるが如く、表向きの窓際にはなく、それと九十度だけ右廻りに廻った壁ぎわに寝ていた。
(因《ちなみ》に、春江の位置に寝ていたのは、鈴江であった)
[#ここで字下げ終わり]
 この外の点は、皆おなじ事で、不思譲なことに、殺害の時間も、短刀の大きさも、致命傷の位置も同じで、ただ創痕《きずあと》の深さが、すこし深いように報告されていた。
 第二の惨劇の日につづく一両日の間に、僕の耳に入った特殊事項について二三のことを述べて置こう。
 なに、君はこの事件に、どんな役目をしていたのだか言えというのかい。それは判りきっているじゃないか。どうせ終りまで聞けば、判るにきまっていることなのさ。僕が誰だって、この物語の進行には一向|差支《さしつか》えないわけじゃないか。
 鈴江が、捜査係長に訊《たず》ねられた一事《いちじ》がある。それは第二の犠牲者たるふ
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