も完備していたし、地上及び地下における火器の照準や発射を司《つかさど》る操縦装置も、ここに集まっていた。通風機、食糧庫、弾薬庫も、その真下に、相当広い面積を占めていた。だから、万一、地上が悉《ことごと》く敵の手におちようとも、この地下本営一帯は、大要塞として独立し、侵入軍との間に、火の出るような攻防戦が出来ることは勿論《もちろん》、長期の籠城《ろうじょう》にも耐え、本国のレッド宮殿との連絡も取れ、ワシリンリン大帝とも電話で話ができるように構築されてあった。その昔のマジノ要塞にしても、ジークフリード要塞にしても、このアカグマ地下本営にくらべると、玩具《がんぐ》のようなものだった。
スターベア大総督のかけている椅子の前には、映画館の飾窓《かざりまど》にスチール写真が縦横に三十枚も四十枚も貼りつけてあるように、さまざまな写真が貼り出してあった。
いや、それは只《ただ》の写真ではなかった。どの写真も、しきりに動いていた。多くは風景のようなものがうつっていたが、部屋の中の写真もあった。いずれも皆、映画のように動いていた。
映画ではない、テレビジョンである!
地上と地下とを問わず、戦場と味
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