二、〇〇〇年戦争
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)発端《ほったん》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)イネ州|駐剳《ちゅうさつ》の

[#]:入力者注 主に傍点の位置の指定
(例)さば[#「さば」に傍点]を
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   発端《ほったん》

 そのころ、広い太青洋《たいせいよう》を挟んで、二つの国が向きあっていた。
 太青洋の西岸には、アカグマ国のイネ州が東北から西南にかけて、千百キロに余る長い海岸線を持ち、またその太青洋の東岸には、キンギン国が、これまた二千キロに近い海岸線をもっていた。
 キンギン国は、そこが本国であったが、アカグマ国のイネ州は、本国とはかなり距《へだ》たっていた。早くいえば、イネ州というのは、かつてイネ帝国といっていたものが、アカグマ国のために占拠せられて、イネ州と改められたものであった。
 太青洋は、二大国に挟まれ、今やしずかなる浪《なみ》をうかべて、平和な夢をむさぼっているように見える。そのころ、西暦は、ついに二、〇〇〇年となった。
 果して太青洋は、いつまでも、平和のうちに置かれているだろうか。その
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