誇っているものであった。そういうものすごい兵士たちが、続々と第一岬要塞附近に集まってきたのであった。
「おい、これは演習だろうか、それとも、いよいよ本当の戦闘だろうか」
「さあ、よくはわからないけれど、どうやら、本当の戦闘が始まるらしいぞ。衛生隊では、たくさんのガーゼを消毒薬液の中へ、どんどん放《ほう》りこんでいる」
「じゃあ、いよいよ本当の戦闘だな。しかし相手国は、どこだろうか」
「さあ、それがよく分らないんだ。イネ帝国の暴民たちが、蜂起《ほうき》したのではあるまいか」
「そうじゃあるまい。それにしては、われわれの用意があまりものものしすぎるよ。第一旧イネ帝国の暴民たちが、海上方面から攻めよせることはあるまい」
「さあ、それは保証のかぎりでない。旧イネ国の敗走兵が、南の方の小さい島々へ上陸して、再挙をはかっているという噂を聞いたことがあるぞ」
「それにしてもだ、この第一岬要塞を攻めるには、十万トン以上の主力艦かさもなければ、五百機以上の重編隊の爆撃機隊でなければ、てんで戦争にならないのだからね。旧イネ帝国の敗走兵どもに、そのような尨大《ぼうだい》な軍備が整いそうもないじゃないか」
「
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