イたちは、完全にこの大広間から追い出されていた。しかもこの料理は、五百パーセントの闇値段《やみねだん》で集められた豪華な料理であって、これ全《すべ》て、遠来《えんらい》の金博士――いや、イギリス政府及び軍部が今は命の綱と頼む新兵器発明王の金博士に対する最高の饗応《きょうおう》であったのである。
「さて、早速《さっそく》ではあるが、金博士に相談にのっていただくことにする」
と、座長格の世界戦争軍総指揮官ゴンゴラ大将が口を開いた。
「なるべくなら、この御馳走を全部頂戴してののちに願いたいものじゃが」
金博士は残念そうにいう。
「いや、事が事とて、ぐずぐずして居れないのです」
と、総指揮官ゴンゴラ大将は、かまわず話をすすめる。
「これは今夜はじめて諸君にかぎり発表する最高の機密であるが、実は、わがイギリス軍は、最早《もはや》如何《いかん》ともすべからざる頽勢《たいせい》を一挙に輓回《ばんかい》せんがために、ここに極秘《ごくひ》の作戦を研究しようとしている。それは如何《いか》なる作戦であるか」
と、ゴンゴラ大将は、そこで大いに気を持たせて、一座を見廻した。
(おや、十三の座席は、縁起《
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