独本土上陸作戦
――金博士シリーズ・3――
海野十三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)金博士《きんはかせ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)精神|錯乱《さくらん》の

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#感嘆疑問符、1−8−78]
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     1


 およそ新兵器の発明にかけては、今日世界に及ぶものなしと称せられる金博士《きんはかせ》が、とつぜん謎の失踪《しっそう》をとげた。
 おどろいたのは、ここ上海《シャンハイ》市の地下二百メートルにある博士の実験室に日参していた世界各国の兵器スパイたちだった。
 実験室は、きちんと取片づけられ、そして五分置きに、どこからともなくオルゴールが楽《がく》の音《ね》を響かせ、それについで、
“余《よ》は当分《とうぶん》失踪する。これは遺書《いしょ》である。ドクトル金”
 と、姿は見えないが、特徴のある博士の声で、この文句がくりかえし響くのであった。
 録音による遺書が、オートマティックに
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