るお願いである。新奇なる兵器を作り、わがイギリスの沿岸より発し、独本土へ兵を上陸せしめられたい」
ゴンゴラ総指揮官は、声涙共《せいるいとも》に下《くだ》って、この東洋の碩学《せきがく》に頼みこんだ。すると博士は、
「ああ、それくらいのことなら、至極《しごく》簡単にやって見せるよ」
「えっ、本当に出来る見込みがありますか」
「ありますとも。そんなことは、人造人間戦車の設計などに較《くら》べれば訳なしじゃ」
「おお、それが真実なれば、吾輩は天にものぼる悦《よろこ》び――いや、とにかく大きな悦びです」
「しかしのう、ゴンゴラ大将。それについて、余は、篤《とく》と貴公と打合わせをしたいのじゃが、この席ではなあ。つまり、こう沢山の人々の耳に入れては、それスパイに買収せられた耳も交《まじ》っているかもしれない。二人切りになれないものかな」
「ああ、そのことなら、吾輩としても、願ってもないことです。よろしい。では他の将軍たちを退場させましょう。おい諸君。君たちは一時《いちじ》別室へ遠慮せよ」
さすがに総指揮官の一声で、他の将軍たちは、ぶつぶつがやがやいいながら、ゴンゴラ大将と金博士をそこに残して
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