』は、実にすばらしい発明なんだ。しかしさすがの余も、これを国防方面へ応用することには気がつかなかった。
「今の話は、どうかこの場かぎりに願いたいのです。しかし私どもは、あの特許の実物が、いま申しましたような働きをするに充分だと認めれば、特許の買い取り価格をそうですねえ、まず二百万円までは出します」
「二百万円、あの『多腕人間方式』の特許権が二百万円になるのですか」
余は、もう愕きを、隠していることができなかった。
「よろしい。なんとしても発明者を探し出して、連れてまいりましょう。もちろん、実物も、彼氏のところにあるはずですから、持参してご覧にいれられるように計らいましょう」
余は、すべてを請合ったのだった。
6
×月×日 晴、風強し。
ついに、発明者田方氏の所在が分った。
例のアパートのおかみさんが、極力あの区一帯を捜索してくれた結果、ついに分ったのであった。氏はしゃあしゃあとして、付近にある他のアパートに住んでいたのであった。
余が入っていくと、発明者田方氏は、ベッドのうえに寝て、本を読んでいた。
「やあ、これは……逃げかくれはしない」
彼は、愕いたよう
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