よいよおどろいたが、もっとしらべをつづけた。
 青二の目に見える二つの玉は、どうやらこの猫の目玉であるらしく思われる。
 それから新発見があった。見えない猫の二本の前足が、細いゴムのバンドで結《むす》んであることだった。そのゴムのバンドは、草むらの中にあって、よくよく見ないと、青二の目には、はいらない場所であった。
 こわいよりも、今や青二は、好奇心にわき立った。
 青二は、そのあやしい猫のような動物を抱きあげた。たしかに猫ぐらいの重さが感じられた。青二は、それをしっかりと抱いて、道へ出た。そして、自分の家の方へ歩き出した。
 その動物は、おとなしかった。もうなきはしなかった。青二のふところへ、もぐりこむようにして、からだをまげた。動物の温《あたた》か味が青二の方へつたわって来た。
 動物はねむり始めたらしい。
「いったいこれはなにかしらん。猫のたましいにしては、すこし変だし……」
 青二には、このあやしい動物の正体《しょうたい》を、はっきりいいあてることができなかった。
 やがて青二は、家にかえりついた。
 青二は「ただ今」といって、すぐ二階へあがった。青二は、途中で拾ってきたあやし
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