ないだろうか)
死人のたましいが出てくる話は、いくどもきいたことがある。しかし死んだ猫のたましいが出てきた話は、あまりきいたことがなかった。でも、今はそうとしか考えようがないのだった。
「おいミイかい」
青二は、思いきって、ふるえる声で、そういって、声をかけた。
「にゃーお」返事が、同じところからきこえた。
「あっ!」青二は、おどろきの声をあげて、その場にすくんでしまった。というわけは、彼はそのとき、草の上に二つの光るものがういているのを見つけたからである。
それはなんだか、えたいの知れないものだった。ただぴかぴかと光って、行儀《ぎょうぎ》よく二つがならんでいた。大きさはラムネのガラス玉を四つ五つあわせたぐらいあって、全体はうす青く、そしてまん中のところが黄色で、そのまた中心のところが黒かった。
(目玉のようだが、いったいなんだろう)
とたんに、また「にゃーおん」とあまえるような声がきこえた。たしかにその二つの玉のすぐそばから声が出たようである。
青二は、こわいはこわいが、その光った二つの正体を見きわめないではいられなかった。そこで、彼は勇気を出して、草むらの中へふみこむと、
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