石《みかげいし》の台石《だいいし》を作ることになった。
東京市内では、この忠魂塔のことでよるとさわると話の花が咲くのであった。
「あれで見ると、某大国もやっぱり日本に敬意をもっていないわけじゃないんだね」
「うん、僕も平生《へいぜい》すこし悪口をいいすぎたよ。あの記念塔は写真で見たが、高さが五十メートルもあるというから、とてもでっかいものだよ。塔下の一番太いところの直径が二メートル近くもあるそうだからね」
「ほほう、そうか。たいへんな物だね。そんな大きなものをどんな風にして日本まで持ってくるつもりだろうか」
「さあ。もちろん塔の途中からいくつかに小さく折って持ってきて、こっちで、接《つ》ぎあわすんだろうよ。そのままじゃ、とても船にも載《の》せられないし、陸へあげても列車にも積めないし、町を引張《ひっぱ》りまわすことも出来やしないからね」
そんな話が、あっちでもこっちでも取り交《かわ》されているうちに、更に国民を愕かせるニュースが入ってきた。
それは例の忠魂記念塔を、某大国の一等巡洋艦がわざわざ積んで、日本まで廻航してくるという報道であった。
「本国政府は、この機に際し、親愛なる日
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