ちに、彼をよぶものがあった。
「おい、黄いろい幽霊!」
はて――と、眼をさますと、窓のところに二つの顔が、沖島の方をのぞいていた。
一つは、衛兵の顔、もう一つの顔は、ピート一等兵の大きな顔であった。
「おい、コーヒーをもってきてやったよ」
ピートがいった。
友情
コーヒーをもってきてやった――と、ピート一等兵はいった。そして窓のところから、うまそうな湯気《ゆげ》のたつコーヒーの器《うつわ》が見えた。
沖島は、腰かけから立って、窓のところへいった。
「コーヒーを、もってきてくれたのか。どうも、すまんなあ」
「すまんことはないよ。わしは、ここだけの話だが、お前に、感謝しているよ……」
「おい、ピート一等兵。ことばをつつしめ」
と、衛兵が、よこで、こわい顔をした。
「だまっていろ、お前には、わからないことだ」
とピートは、衛兵につっかかった。
「そのわけは、お前がいなければわしは、地底戦車の中で、腹ぺこの揚句《あげく》、ひぼしになって死んでしまったことだろう。お前のおかげで、こうして、氷の上にも出られるし今も、たらふくビフテキを御馳走《ごちそう》になったりして、ま
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