無くてはならぬ発火器の鍵を、服の或る部分にしまいこんだりして万端《ばんたん》の手配を終ってしまったのであった。
 さあ、もうこれでいい。なにが来ても、おどろくことはない。
 パイ軍曹はピート一等兵の肩車にのって戦車の蓋《ふた》を中から、しきりにとんとんと叩いて、外部と連絡をとっていたが、やがて、
「うわーッ、こいつは、たいへんだ」
 と叫んで、おどりあがった。
「あっ、軍曹どの。そんなに、あばれちゃあぶない」
 といううちに、二人は折り重なって、床のうえに、ひっくりかえった。
「おお、痛い。ピート一等兵。早く、扉をあけろ。外には、我が軍が、待っているそうだ。早くしろ」
「わが軍が……。ああ痛い。腰骨が、折れてしまったようです。軍曹どの。あなたにおねがいします。自分には、出来ません」
「わしに出来るなら、きさまに頼みやせん」
 パイ軍曹は、渋面をつくっている。
「じゃあ、僕があけよう」
 沖島は、そういって、天蓋《てんがい》のハンドルに手をかけて、力一杯ぐるぐるとまわした。
 すると、さっと、白い光が、外からさしこんできた。それとともに、新しい空気が流れこんだ。サイダーのように、うまい空
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