う、助かるまい」
「軍曹どの、自分は、もういけませんか。もう、だめでありますか」
「もう、いかんぞ。どうも、くさい。いやにくさい。きさまは、からだが大きいせいか、鯨《くじら》の油みたいな脂を出しよる」
 と、パイ軍曹が、鼻をつまんだ。
「え、鯨の油みたいなにおいがしますか、はてな?」
 ピート一等兵は、そういったかと思うとにわかに、あわてて、自分の毛皮の服の胸をあけて、中へ手をつっこんだ。
「うわーッ、いけねえや」
「おい、ピート。何ということをする……胸の中が、どうかしたのか」
「あははは。大失敗でさ。わけをいうと軍曹どのに叱られ、そしてここにおいでの幽霊どのに笑われてしまいます」
「ははあ、きさま、また欲ばったことをやったな。服を開いて、中をみせろ」
「はい、どうも弱りました」
 ピート一等兵は、悄気《しょげ》ている。
「やっぱり、そうだ。きさま、鯨油《げいゆ》の入っている缶を、盗んでいたんだな。どうするつもりか、鯨油を、懐中に入れて」
「どうも、弱りました。まさかのときは、これでも、腹の足《た》しになると思ったものですから……」
「なに」
「つまり、鯨の油ですから、こいつは、魚の
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