どこへお向けになろうというのですか」
「目的地か。そんなことは、聞かないでも分っていそうなものではないか。ほら、その地図のうえの、ここだ!」
 と、黄いろい幽霊は、操縦席の前にかかっている南極地方の地図のうえを、機関銃の先で指さした。そこには、絶望の岬《みさき》と、妙な地名が書きこんであった。
「えっ、ここですか。ここは絶望の岬ですよ。いくらなんでも、こればかりは、おことわりいたします」
 と、パイ軍曹は、顔色をかえた。
 そうでもあろう、この絶望の岬というのは、この前、十九名からなるノールウェイの南極探険隊の一行が、岬へ上陸したのはいいが、そのまま険悪な天候にとじこめられてしまって、半年間も立往生し、ついに全員が、恨みをのんで、死んでしまった魔の場所であった。パイ軍曹が、顔色をかえるのも、無理ではなかった。
「いや、行くのだ。行くのがいやなら、すぐこの戦車から下りたまえ」
 どこで聞いていたか、黄いろい幽霊は、パイ軍曹の口ぶりをまねして下りろといった。
「下りるのが、いやなら、銃弾をくらうかね」
 軍曹が、だまっていると、となりに座っているピート一等兵は、しんぱいして、口をひらいた。
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