「軍曹どの。その幽霊のいうことを聞いた方がいいですよ。幽霊なんてものは、むちゃくちゃなことをいいだすものですからね、それにさからうと、よくありませんよ。自分の村では、幽霊にさからった者がいて、いつの間にか全身の血が、一滴のこらず、自分のからだからなくなってしまったのですよ。軍曹どの、だから、さからってはいかんです。もしそうなったら自分は、幽霊と、さしむかえで暮すことになるわけで、こりゃ、やりきれませんよ」
だが、軍曹は、なにもいわなかった。そのとき彼の眼は、急にあやしい光をおびたが、とたんに、彼は、
「ヤッ!」
と、さけんで、自分の肩ごしに、前へ出ている機銃の銃身を、ぐっとつかんだ。
「さあ、つかんだぞ。力くらべなら、幽霊なんかに負けるものか。こいつさえ、幽霊の手からこっちへとってしまえばいいのだ。おい、ピート一等兵、お前も下りてきて、手つだえ!」
うごかぬ筈《はず》
黄いろい幽霊が手にもっていた機銃で、操縦席の前にさがっている南極の地図を指したために、そばにいたパイ軍曹は、黄いろい幽霊のゆだんを見すまして、機銃をぐっとつかんだのである。力くらべならば、彼はすこぶ
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