とからだが、いやというほどぶつかり、そうかと思うと、鉄壁に、がーんと叩きつけられ、戦車が海底にやっと達したときには、とうとう二人とも気をうしなってしまった。
だが、この地底戦車は、よほどしっかりできているものと見え、万事異常はなく、車内の電灯も、ちゃんと点《つ》いていて、エンジンのうえに、長くなって倒《たお》れているパイ軍曹とピート一等兵の二人を、気の毒そうに照らしていた。
ここで、二人が、そのまま息をひきとってしまえば、もう『地底戦車の怪人』も、ここでおしまいになるはずである。これから後が、なかなか長くて面白い冒険談となるのである。だから、読者諸君は、パイ軍曹とピート一等兵とがたいへん好都合にも、間もなく息をふきかえしたことに気がつかれるだろう。
これは、二人にとって、どれくらい後のことだったか、さっぱり分らない。どっちが、先に気がついたのか、それも、はっきりしないが、とにかく二人は、
「うーむ」
「あ、いたッ」
と、別々に呻《うな》りながら、手足を、そろそろとうごかしはじめた。だが、四肢《しし》はくたくたになり、首の骨はぐらぐらになっているので、気の方は一足おさきに、相当し
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