うな音も、聞える。
と、とつぜん、どどどどーんと、四連発の大砲を、あわてて撃ちだしたときのように、おそろしい響きが伝わってきた。――と、思ったとき、そのとき遅く、二人の乗っていた戦車は、ぐらぐらとうごきだした。
「おい、たいへんだ」
「足が、ひとりでに、上へ向いていくぞ」
戦車はまるでフットボールを山の上から落したときのように、天井と床とが、互いちがいに下になり上になりして、弾《はず》みながら、落下していくのが、二人にも、やっとわかった。
(どうなるのであろう? これも、カールトン中尉の遺骸《いがい》を、外に置き忘れてきたためか!)
二人は、もう、生きた心もなかった。
静かな海
はげしいいきおいで、何千メートルという深い海底へおちていく地底戦車の中で、パイ軍曹とピート一等兵とは車内を、ころげまわったり、ぶつかったりして、たいへんな目にあった。床だと思っていると、それが、ぐらっとうごくと、天井になったり、そうかと思うと、天井が、横たおしになって、かべになったり、二人は身のおきどころもなかった。いや、身のおきどころがないなどという生《なま》やさしいことではなく、からだ
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