方で、とつぜん、どどーンと小爆発がおこって、船の構造物が、がらがらと、はげしい音をたてて崩れた。
「ほう、なかなか景気をそえているじゃないか」
と、パイ軍曹が、へらず口を叩けば、
「わしは、子供のときから、賑《にぎや》かな方が好きです。讃美歌なんかに送られて天国へいくなんて、わしの性分《しょうぶん》にあわねえ。もっと、どかんどかんと、爆発すると、ようがすなあ」
と、ピート一等兵はやりかえして、太い指で、鼻を下から、こすりあげる。
二人は、そのまま放《ほう》っておけば、いつまでも地獄の門をくぐるときまで、その調子で、へらず口を叩き合っていたことだろう。――が、幸か不幸か、そこへ邪魔《じゃま》ものがとびこんできた。頭を割られて、顔半面まっ赤に血を染めた将校が、二人の前へよろめきながら現れたのであった。二人は、その将校の顔を見るより早く、声を合せて、叫んだ。
「あっ、隊長だ!」
「あ、カールトン中尉どのだ」
二人は、その傍《そば》へとんでいった。
中尉の遺言《ゆいごん》
「隊長どの、しっかり!」
「カールトン中尉! 傷は、かすり傷ですよゥ!」
二人は、一生けんめい、重
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