「いや、一大事だ。さっきのさわぎのうちに、リント少将の姿が、急に見えなくなったのだ。もう、しらべるところは、全部しらべた。困ったなあ。君のところも、もう一度、念入りにしらべてくれたまえ」
「はい、承知しました」
 一大事である。飛行隊員は、総動員で、附近をさがすこととなった。――そしてピート一等兵は、味方をうったことが、司令にしられそうになり、あやういところで、たすかった。
 ところが、そのころ、氷の中の監房でも、ふしぎな囚人紛失事件が、もちあがっていた。監房の前では、衛兵と折から又そこへ下りてきたパイ軍曹とが、声高にあらそっている。
「冗談じゃありませんよ。パイ軍曹どの、はやく囚人をかえしてください。黄いろい幽霊を……」
「わしは、知らん」
「わしは、知らんじゃ、困るじゃありませんか。軍曹どのが、監房の扉をあけて、囚人を引っぱりだしたのですぞ。それから、ピストルでおどかしたり、靴で、けとばしたりしたではありませんか」
「けとばすわけがあったから、やったまでだ。そんなことについて、貴様のさしずはうけない」
「さしずをしているのではありません。黄いろい幽霊を、かえしてくださいと申してい
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