ると、全くかわいそうでならなかった。
 そのとき、司令がさけんだ。
「勇士ピート一等兵。五歩前へ」
 ピート一等兵は、えらそうな顔をしてのこのこ前へ出ていった。
 パイ軍曹は、心臓がいたくなった。
「ピートのやつ、どこまで、ばかな奴だろう。いよいよ大嵐のはじまりだぞ」
 すると司令は、
「勇士ピート一等兵。二機撃墜のときの状況をのべよ。まず聞くが、お前が、撃墜した日本機はいかなる機種のものであったか」
「え、日本機?……」
 ピート一等兵は、ようやく気がついた。
(あっ、しまった。こいつはとんだことを喋《しゃべ》ってしまったぞ。撃墜といったのだから、とうとう敵味方の区別をわすれて、喋ってしまった)
 さあ、こまった。
「順序をたてないでよろしい。はなしやすいように、はなせ」
「うわーッ」
 ピート一等兵は、へどもど……。
 しかし、ピート一等兵は運がつよかった、というのであろう。そのとき、とつぜん、思いがけないさわぎが起った。司令のそばへ副官がとんできたのだ。
「おお、飛行司令。リント少将は、こっちに見えていないか」
「リント少将? 閣下は、こっちへ来ておられません。どうかしましたか」
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