か外側か、どっちから撃ったかということで、容疑者の顔触れががらりと変るんではないかね」
「すると君は、その顔触をどんなに区別するつもりか」
「僕はこう思う」
土居は一層真面目な顔付になって、
「窓の内側――すなわち室内であれば、家政婦の小林か芝山宇平が怪しい。また窓の外からであれば、小林……小林を始め婦人ではあり得ない」
「婦人でないというと誰々のことだ」
「沢山の容疑者がある。亀之介、芝山宇平、その外に死んだ鶴彌と関係のある男たちだ」
「芝山は、部屋の中でも外でも、両方に可能性があるんだね」
「芝山は怪しい奴だ。ねえ、帆村君。君はこの男に目をつけているんじゃないか。怪しい節がうんとあるよ。老人ぶっているかと思うと、若者のようにとんでもない色気を出したり、言うことだって何をいっているか分ったもんじゃないし、その前身だって洗ってみる必要があるよ」
「三津子さんはピストル関係者ではないのかね」
帆村はいきなり話題を転じた。
「もちろん無関係だ。なぜといって、妹は鶴彌氏に送られて玄関を午後十一時頃に外へ出ている。鶴彌氏の死んだのは、それから一時間ぐらい後のことなんだ。その頃僕は家へ帰りつ
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