分るかもしれん。その方の調べを急ごうや」
「いいですなあ」
そこで一行は、一名の警官を後に残して、河田町の方へ自動車をとばしていった。ここで話をもう一度旗田邸へ引き戻さねばならないことになった。それは、ちょうど同じ頃の時刻であったが、旗田邸内に意外な事態が起ったので……。検事一行が三台の自動車に乗って賑やかに旗田邸を出かけてから五六分たった後のことであった。がらんとした[#「がらんとした」は底本では「がらんとして」]鶴彌の居間の入口に、姿を現わした者があった。
「もしもし。どなたか居ませんか」
やや低目の声で、その人物は呼んだ。それは亀之介だった。誰もそれに返事をする者がなかった。彼は部屋の中を覗きこんだが、室内は乱雑に椅子が放り出されてあるだけで、その上に尻を乗せていた連中の姿は一人もなかった。警戒の警官さえが居ないようであった。親玉が行ってしまったので、これ幸いと鬼の留守に洗濯をやっているのであろうと、彼は思った。
「おやおや。こう散らかされちゃかなわんねえ」
彼はあたりへ気を配りながら、室内へ足を踏み入れた。が、急に彼の行動は敏捷となった。彼はテーブルの傍へ寄った。そしてポ
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