たちの一行を乗せた自動車が到着した。佐々は、一行が部屋へ入って来たので、びっくりした。しかし彼はすぐ了解した。そうだ、ここが殺人容疑者の本舞台なんだから、検事一行がここへ移動して来るのはあたり前だと気がついた。
「この通りです。どの缶にも、赤線の符牒がついていますよ。おどろきましたね」
佐々は、部屋の真中に山のように積みあげた缶詰を指さした。検事は大寺警部に目配せして、それらの缶詰を調べにかかった、指紋をつぶさないように気をつけながら……。
「無いね。無いじゃないか」
検事は失望していった。
「無いですね。どの缶詰も重いですね。軽いやつは一つもないですね」
警部も失望の態である。
「空き缶の方はどうだろうか。中が洗ったように綺麗なのがあるかい」
こんどは空き缶探しにうつった。だがそれも失望を強めたに過ぎなかった。
問題の空き缶のように中の綺麗な缶は一つもなかった。
「この上は、お末をここへ引張って来て、訊問するんですな」
「うん」
と検事は考えていたが、
「それは後でもいいと思う。それよりは次のミヤコ缶詰工場へ行こう。あそこへ行けば、問題の空き缶についていた未詳の指紋の主が
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