た。帆村もメモをしまって、出掛ける用意をした。
「さあ参りましょう。なんといっても、あの缶詰を追って行けば、この事件はきっと解けるにきまっているんですから……」
 帆村はいつになく広言した。一同は、どたどたとこの部屋から出ていった。それから賑やかさは玄関に移った。三台の自動車が、次々に白いガソリンの排気をまき散らしながら、通りへ走り出していった。そして邸内は急に静かになってしまった。

   意外な行動

 そのころ佐々部長刑事は、旭町のアパート本郷末子の部屋で、夥しい収穫に自ら昂奮していた。というわけは、彼女の部屋から多数の缶詰や空き缶を発見したのであった。そしてどの缶詰も、ふちのところに赤い細い線が入っていた。この線は、素人にはちょっと気がつかないが、専門家にはすぐ目に立つものだった。これは偽造品と区別するためのミヤコ缶詰会社の隠し符号であったわけである。これだけの夥しい缶詰を押収してしまえば、その中にきっと問題の缶詰の兄弟分も交っていることであろう、そしてお手伝いお末が、有力なる殺人容疑者としてフットライトを浴びることになろう――と佐々部長刑事は気をよくしていた。そこへ長谷戸検事
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