少し引張って腰を下ろした。
「あなた、失礼。その棚の上にある灰皿を一つこっちへ。やあ恐縮」
警官の手から灰皿を受取ると、亀之介はそれを窓の枠の上に置き、ケースから紙巻煙草をとりだして火をつけた。
「旗田さんに伺いますが、窓の外から兄さんを撃ったピストルを、家政婦の小林さんの部屋の花瓶の中に入れたのは、どういうおつもりだったんですか」
「ええッ、何ですって……」
おどろいたのは亀之介だけではなかった。長谷戸検事も大寺警部もその他の係官も、帆村のいい出したことが意外だったので、おどろいた。そんなことは瓦斯中毒説についての訊問ではなく、中毒説以前の捜査への復帰ではないか。尤も亀之介のおどろきは、係官のそれとは違っていた。
「僕が撃ったなんて、誰がいいました。とんでもないことをいう……」
「いや、私は今、あなたが兄さんを撃ったとはいわなかったつもりですが、あなたはそういう風におとりになった。それはともかく、何者かが旗田鶴彌氏射撃に使ったピストルを、あなたは家政婦の部屋に隠した。なぜです」
「そんなことは嘘だ」
「あのとき押入の中に、小林さんの愛人の芝山宇平氏が隠れて居たんですよ。あなたがピ
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