ストルを空の花瓶に入れたとき、こつんと音がしたことまで芝山氏は証言しています」
亀之介は、思わず舌打ちせした。そしてそのあとで、まずい舌打をしたと気がついて、帆村の顔をちらりと盗み見した。
「外出先から帰宅せられたあなたは、家政婦を呼び出して、コップへ水を一ぱい持って来るように命じ、家政婦が勝手の方へ行った留守の間に、あなたはピストルを持って家政婦の居間へ入り、それをしたのです。そうでしょう」
「知らんですなあ、そのことは……」
「じゃあ別の方面から伺いましょう。あなたはあの夜、三度この邸へ帰って来て居られる」
帆村が意外なことをいい出したので、係官の顔がさっと緊張する。当人の亀之介も、びくんとした。
「第一回は午後十時三十分から十一時の間、第二回は午後十二時から零時三十分の間、そして第三回は、家政婦を起して家へ入れてもらった午前二時。この三回ですが、そうでしょう」
「とんでもない出鱈目だ」
亀之介はすぐ否定したが、語勢は乱れを帯びていた。
「東京クラブの雇人たちが証言しているところによれば、あなたは右の時刻前後に亙る三回、クラブから出て居られる。第一回と第二回のときは、帽子も何
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