待ちかねた。だが、その報告は人々の期待を裏切って遷延し、やっと五日後になって発表をみたが、それによると超音波によるメッセージも効果が見えず、映画は届くより前に水中にて焼きつくされ、御馳走船は例の海域の三キロの近くまで行ったときに、突然大閃光と共に火の塊となって空中にまいあがり、跡片もなくなったそうである。怪人集団は何に懲《こ》りたか警戒心が鋭く、そして何一つ受け入れる気持はないらしくみえた。かくて計画は遂に大失敗と判明した。
大失敗と分ると、怪人集団に対する世界の恐怖と激昂とは、ますます強くなっていった。
どうすればいいのか。だから躊躇するところなく怪人集団の海底城塞に大攻勢を加えるという主戦論は、いよいよ高まった。そして、平和的手段を要望する側の気勢は、反対に静けさを加えた。
アメリカのユタ州の技術大学のアンダーソン教授が、始めて一つの対策研究を発表したときは、実はあまり世界の注目を惹かなかった。そのときはもう全世界が深い絶望感に捉われていて、またしても対策案かという低調な態度でこれを眺めたからであった。
そのアンダーソン教授の研究というのは、次のようなものであった。
およ
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