もって、毎日のように怪人集団の城塞の方位へ向けて音楽を送ることになった。これは音楽というものが最も精神的な純粋な芸術であるところから、或いは怪人たちにも幾分理解されるのではないかという狙いだった。
 その音楽の間に、城塞内に万一捕われて生きているわが調査団員がいるかもしれないというところから、これに対して激励の言葉とそして平和的折衝を懇請する件を、やはり超音波の電話で送ることとなった。
 それから、怪人とわが地球人類の交歓の段取を編集し、これを一連の映画に撮影したものを多数こしらえ、映写機及びその回転動力とをつけて荷造りしたものを数百台用意し、これをかの怪人城塞の近くに投下させることにした。
 もう一つは御馳走政策で、これは地球上の珍味珍菓を潜水艇に満載し、怪人城塞へ送りつけることだった。
 こういう実行案を発表してみると、何だか大いに効果があがりそうに思われて来た。むしろなぜかかることを早急に実行しなかったか、その遅きを残念に思うとの批評も出て来て、当局を悦ばせた。

  アンダーソン教授

 択ばれた対策は、いよいよ実行に移された。
 その効目はどうかと、全世界の人々は、その報告を
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