構築物が、さっきの場合よりずっと上方から俯瞰した状態でうつっていた。その城塞の下から、もやもやとした妖気が立ちのぼるのが見えた。それは妖気ではなく、実は軟泥が噴きあげられたのではあったが……。
「ドレゴ君、ここを見給え、この籠みたいなもの[#「籠みたいなもの」は底本では「籠みたいもの」、83−上段−15]――上からぶら下っていると見えて鋼条《ワイヤー》が光っているが、これは海中へ投げこまれた別のテレビジョン送影機だぜ。あ、あそこにも見える。あんな風に、送影機はいくつも海中に投げこまれているんだ。分るかね、ドレゴ君、これは皆アメリカの飛行機が投げこんで行ったものだよ」
「うへえッ。飛行機がテレビジョンの送影機を投げこんで行ったとは、一体どういうわけなんです。爆雷を投げこんで行くのなら、わけは分りますがね」
「うん、これはわれわれのような専門家じゃないと分らないだろうね。アメリカの飛行機は、怪人集団の様子を偵察するために、あのとおり送影機を投げこんで行ったんだと思う。それは賢明なやり方だからね」
「そうかね、そんなに賢明かな」
「知っているだろう、ワーナー博士の調査団一行があの海底で遭難し
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