何だ。もしやあの怪人……」
「そうらしいんだ。僕らにも最初のうちはよく分らなかったけれど、船長《キャプテン》や一等運転士《チーフメイト》などといろいろ意見を交換し合った結果、これは例の怪人集団の写真だという推定に落付いたんだ。あのボイラーみたいなものは、怪人たちが立籠っている城塞なんだろうよ」
「なにッ、あれが怪人集団の城塞だって。ああ、こんなに愕《おどろ》いたことはない」
ドレゴは、どきどきする自分の心臓を、服の上から抑えた。
「局長、これはみな本当だろうか。映画のテレビジョンかなんかを中継して、この映写幕へ出しているんじゃないか」
「君が信じなきゃ、それまでだよ。だがこれは映画じゃないと僕はかたく信じている。その証拠には、受信電波をかえると、これと同じものが別の角度や距離からうつるんだ。見ていたまえ」
局長はまたもや受影機の横に跼《かが》んで、調整を行った。
すると幕面の映像が急に洪水のように流れ出し、何が何だか分らなくなったが、しばらくすると、その流れがゆるやかになって、やがてぴったりと停った。そして新しい光景が幕面にうつった。
それは例の怪人集団の城塞と思われる円筒型の
前へ
次へ
全184ページ中149ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング