たことを。それに代ってテレビジョンの送影機を投げこむと、尊い人間の生命を脅かされることは全然ないんだからね。それにテレビジョンの送影機をあんなにどっさり相手の周囲に投げこむなんてぇ、こんな大掛りなことは、わがアメリカじゃなけりゃ何処の国がやるだろうか。痛快じゃないか」
「なるほどね、ずいぶん突飛なことを考えたもんだ。ビッグ・アイデアだよ」
「あの籠みたいなものに、送影用のレンズや発振器装置などがついているんだ。そしてあの鋼条の中には絶縁されたアンテナ線が海面までつづいていて、海面からそれがテレビジョンの像電波を発射しているんだ。それをアメリカ本国では、沢山の受影機に捕捉し、あらゆる角度から怪人集団の様子を監視しているのだと思うね」
「すると、怪人の姿もうつっていいわけだよ。それはこの器械じゃ見えないのかね」
「僕もそう思って、さっきから、いろいろと同調波長を変えて、違った映像をうつしてみたんだが、残念ながらそれらしいものを捉えている電波はなかった」
そういっているとき、受影幕の映像が突然ぱっと消えた。あとに明るい縞目の光のみが走る。
「あれっ、変だなあ。同調が外れたかな」
局長は目
前へ
次へ
全184ページ中151ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング