ンドン港がくさい。これからロンドンへ網をかぶせるべきだ。誰か四五名、ロンドンへ行って貰おう。特別に社機を出して貰うよう、局長には話をして来たぜ」
「よし、僕が行こう」
「僕も行く。ワーナー博士一行の生残者か、それとも遺骸かもしれないが、とにかくそれがロンドン内に隠されていることは間違いなしだ」
「うん。成功を祈る。君たちの……」
こんなことから、ロンドンに俄《にわか》にスポット・ライトが向けられた。
約束の手紙
話はアイスランド島のオルタの町へ飛ぶ。
今やエミリーは悲しみのどん底にあって、涙と共に日を送っていた。大西洋海底におけるワーナー博士一行の遭難事件、それによって明らかにされた戦慄すべき怪人集団の暴行。彼女の愛人水戸の安否は今のところまだ確められていないが、四囲の情勢から憶測すると、まず彼水戸の運命は芳しからぬ方向を指しているとしか思われない。
ドレゴ記者は、エミリーを毎日のように慰問に来るが、来るたびにエミリーに泣《な》き縋《すが》られてほとほと閉口の形だった。といってエミリーの片恋を知った以上、そのままに放っておけない。彼は進まぬ足を引摺るようにして、エミリー
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