はすぐさま可決されたのであるが、それでは如何にこれを処置すべきかという問題については一向信頼するに足る具体的方法が発見されないためだったといえる。
アメリカの上院議員パスニー氏は、突然次の如き見解を発表した。
「地球防衛はわれら世界人類の義務であると共に権利である。地球外よりの無断侵入者に対しては何の仮借するところがあろう。よろしく即時われらはその全武力を大西洋海底に集中し、一秒たりともより速かに、かの無断侵入者を殲滅すべきである。もしわれらにして躊躇することあらば、悔いを千載に残すことになろう」
このパスニー氏の声明は、直ちにアメリカ人の一部の与論の支持を受けた。が、この意見は意外にもフランスの共産党によって非常な共鳴を受けた。すなわちフランス共産党は、即時にアメリカ海空軍の大西洋出動を要請したのである。それから始まって、パスニー氏の意見に賛成する者が、世界の方々に現われた。
やがてこのことは、連日秘密会議を開いている世界連合の臨時緊急会議にまで響いていった。実は、その会議でも、この防衛殲滅論が一方において断然有力であったのだ。その一方において平和的な外交手段による交渉論が支持
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