、この問題の解決に努力しますよ」
水戸記者は、始めて晴々とした気持になって、そういい切った。
「ワーナー先生。船へ帰りましょう。さあ、僕の背に乗って下さい」
「うむ。すまないねえ、水戸君」
「元気を出して下さいよ。船へあがるまでは……」
繭玉が二つ、もつれ合ったような恰好で、博士を背に水戸は深海軟泥につまづきながら蹌踉《そうろう》と歩みはじめた。
遭難第一報
その日は過ぎてその翌日の正午、全世界の通信網はおどろくべきニュースを受取った。それはワーナー調査団一行の遭難事件と、大西洋海底における怪異事件に関するものであった。
臨時放送ニュース、それから号外。このおどろくべき報道は間もなく全世界の隅々まで達した。
その第一報は、次のようなものだった。“アメリカが誇りとするワーナー博士とその調査団一行十名が、近来頻発する大西洋海底地震の調査のために昨日来大西洋の海底に下りて観測中であったが、博士一行は図らずも同海底に国籍不明の怪人集団と、それが拠れる海底構築物を発見した。この輝かしき発見の後、博士一行は悉く遭難し、全滅の悲運に陥った。それがため以後の調査は杜絶したが、アメリカ
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